たった一つの商品の登場で、売上が4倍に!!<br> ムーブメントになる商品を生み出す秘訣とは?

2018.06.26

たった一つの商品の登場で、売上が4倍に!!
ムーブメントになる商品を生み出す秘訣とは?

たった一つの商品の登場で、売上が4倍に!!<br> ムーブメントになる商品を生み出す秘訣とは?



今回からスタートした “ブレインスターインタビュー” は、
日本各地で意欲的な挑戦を展開する “ブレインスター” の方々に
ご登場いただき、お話を聞くという新企画。
ランシェルジュ(学びのコンシェルジュ)の鈴木貴子がお送りいたします。



株式会社紀文 代表取締役社長

向井公規さん<前編>



「ヒット商品なんて、そうそう簡単に作れるもんじゃない……」
なんて、あきらめてたりしませんか?

難しいと思いがちですが、順調に、そして結構軽やかに、
大人気商品を送り出している経営者がいます。

飛騨高山でレストラン事業を営む
株式会社紀文の向井公規社長が
商品開発の際に行なったのは、
丁寧なマーケティングリサーチと
徹底したお客様目線。

ことさら特別なことではないはずなのに、
売上を大きく変える結果になるのはなぜか?


価格は結構高め設定。
それなのにヒットし続ける理由。


鈴木:飛騨高山の観光地で、
   お父様から受け継がれたレストランを経営されている向井さんですが、
   その飲食の事業で、ものすごいヒット商品を生み出したそうですね。

向井:7年前に売り出した「高山バーガー」という商品なんですが、
   これが好評を得まして、いまもうちの看板商品になっています。
   上質な飛騨牛100%を使い、1つ800円という価格ですが、
   多いときは1日700個売り上げています。

鈴木:それはすごいですね! 
   どういった経緯で、その商品を売り出すことになったのでしょうか?

向井:私の父はおいしいものをちょこちょこ食べるのが好きな高級志向で、
   そのような志向のレストランをやりたいって言って始めたんだけれども、
   お客様には正直あんまり求められてないっていうのが現状でした。

   そこで、まずは自分で観光客の話を聞いたり、
   1ヶ月間集中して現場に入ったりして、
   実際の声を集めてみることから始めました。
   そうしたら「観光地の中なので、食べ歩きをしたい」
   「ちょっとずつ、いろんな味を楽しみたい」という意見が主流だったんです。

   東海北陸道が開通して、金沢や名古屋からも便利になったこともあり、
   現在、高山に訪れる観光客は年間450万人を上回っています。
   しかし、高山はちょっと途中に立ち寄る観光地って感じに変化して、
   目的地というより通過点。
   そんなわけで、とにかく急ぎのお客さんが多いんです。
   加えて、海外からの観光客も、あまり食べ物にはお金を落としていかない傾向でね。
   手軽で、食べ歩きできる商品を、と考えました。

鈴木:なるほど。求められているのは、高級なコース料理ではない。

向井:高山バーガーは、りんごのソースを使っているのが特徴なんです。
   飛騨って結構りんごが採れるので、
   特産物を使いたいというのもあって考えた商品で、
   少し酸味の効いたさっぱりしたバーガーになってます。

鈴木:りんごのソース!
   そういえば、りんごってお肉の消化を助ける酵素がありますよね!

向井:そうそう。そうなんです。

鈴木:さすが、ご存知で組み合わせたんですね?

向井:いや、それは後から人に言われて知ったんです(笑)。
   最初は飛騨の特産のりんごを使いたいという思いで、
   ハーブも入れたりして、健康にもいいようなイメージで…。
   自分的には、本当にすごくおいしいと思ってます(笑)。
   さっぱりしてるからか、結構みなさんペロッと食べていかれて、
   外国人の方などは平気で2〜3個食べちゃう。
   りんごソースだから、もたれないというのもありますね。
   このハンバーガーの登場で、売上は年商ベースで約4倍になりました。

鈴木:大ヒットですね! 
   まず味の良さというのがもちろんあって、
   さらに、特産である飛騨牛とりんごで、土地の特色を出しつつ、
   気軽に歩きながらでも食べられる商品……、
   ということですね。



第2弾の狙いはインスタ映え!
流行のど真ん中を捉えた企画とは?


鈴木:高山バーガーの成功の経験を生かして、第2弾もスタートされたとか。

向井:はい、新企画としてフルーツサンドとスムージーの専門店、
   「シェフは果樹園」を11月19日にスタートさせました。

鈴木:りんごのお話もありましたけれど、飛騨のイメージからすると、
   フルーツというのは意外な気もします。

向井:飛騨牛ばかりが知られていますからね。
   でも、飛騨はフルーツも豊富なんです。
   昼と夜の気温差が激しいこともあって、かなりおいしい果物が採れます。
   地元では有名なんだけど、なかなか全国には知られていないから、
   紹介したい気持ちもありまして。

   まずは、フルーツで食べ歩きができるものですね。
   テイクアウトというよりも、ニーズは食べ歩き。
   なので、ちょっと面白いロールケーキとかも考えてます。

鈴木:確かに、フルーツサンド、人気もあるし魅力的ですね。

向井:高山の町なかでは、そもそもパンを扱ってるところがあまりないんです。
   それに、外国人観光客は、旅行の初日とか最終日には高山に来ない。
   空港がないのでね。
   だから、行程の半ば、中間地点という感じで高山に寄る。
   それってちょうど、一回和食に飽きてるタイミングなんですよ。
   うちの店でも、やっぱり和食よりも洋食系のものが逆に出る。
   そういう観光客の動きを見たところで、あえてパンにしました。
   現行の飛騨牛の商品「高山バーガー」を一品残しつつ、
   フルーツに特化した商品を出していこうと。
   それに合わせて、店のファサードも一気に変えました。

   あと、今って「インスタ映え」というのがあるじゃないですか。
   フルーツサンドとスムージーは、女性を意識した商品ですから、
   そこはちゃんと作っていかないと。
   見た目にも、きれいでインパクトがあるものにしています。

鈴木:11月19日のオープンを迎えられたばかりですが、その手応えはいかがでしたか?

向井:おかげさまで、予想以上の反応があり、
   オープン初日は、午後2時には当日分のフルーツサンドやスムージーが完売しました。
   一押し商品のイチゴ10個を使用したスムージー「ドッサリーナ」をはじめ、
   各種スムージーは目標の倍以上、フルーツサンドは目標50食のところ150食販売でき、
   スムージーとサンドウィッチのみで、30万を超える売上となりました。
   閑散期に入ったにも関わらず、思った以上にご好評いただいてホッとしてます。

鈴木:素晴しい〜! おめでとうございます!
   その成功の秘訣をうかがいたいと思いますが、
   向井さんは、新しいお店のオープンに際し、
   とても丁寧にマーケティングリサーチをされてますよね。



顧客ニーズに応えるだけじゃない。
新商品を必ず成功させる法則。


向井:変な言い方ですけど、自分で考えないようにしてるんです。
   「こうしたい、ああしたい」という自分の思いだけが強いと、
   当たればいいですけど、外れると痛いんで(笑)。
   自分を無にしてひたすら声を聞くというか。
   自分の店を見るときにも、できる限り客観的になって、
   自分自身をお客様と同じ目線にして、
   「見る・聞く・味わう」ということが
   重要だと感じています。

   もちろん、導線などのデータはしっかり取ります。
   たとえば、高山バーガーを作った当時のコンセプトは「締めの飛騨牛」。
   
   リサーチをかけたら、「バスや電車の時間があるから、
   何か急いで持って帰れるものはないの?」という声をいっぱい聞いて、
   うちは最初に立ち寄る店じゃなくて、
   帰る前に寄ってくれる店だということもわかりました。
   「今から帰るから」という声が圧倒的に多かったんです。

   なので、最後の最後に、さっぱり目の飛騨牛。飛騨を感じてもらおうと。
   飛騨牛は他でも食べてるかもしれないから、
   あえて軽めでさっぱりとしたバーガーをと考えました。

鈴木:新しい企画を立ち上げるとき、
   やはりお客様のニーズを最優先で考えるんでしょうか。

向井:最初の頃は、お客様のニーズと自分らの考えを、
   どうやったらマッチさせられるかという観点だったと思うんですけど、
   そのほかに「社会のニーズ」っていうのがあるなと気がついて。
   それが重要なんだなと。
   自分のニーズと、現地に実際来ているお客様のニーズと、社会のニーズが
   団子みたいにちゃんと串刺しになっていないと、その商品はうまくいかない。

   たとえば、このフルーツも健康志向を意識してます。
   飛騨牛を食べることに、ちょっと罪の意識を感じてるお客様もいるんですよ。
   フルーツは、飛騨を感じてもらいつつ、箸休め的に健康志向っていう感じです。
   お客様が求めているだけじゃなくて、社会のニーズもそこに組み込んでいく、
   それができたら案外いけるんじゃないかなって思ってます。

鈴木:なるほど。いつ、そこに気が付かれたんですか?

向井:もともとは、どうやって事業を維持するかを必死に考えて、
   お客様といろいろ話をして、なるだけ自分が無になって、
   声を聞いて……というのがきっかけです。
   いろんな意見が当然いっぱいあるじゃないですか。
   それを全部叶えるのは無理ですよね。
   どれを取捨選択したらいいかも判断がつかないっていう時、
   社会のニーズとお客様のニーズが合致しているものに
   トライしてみたいと感じたんです。

鈴木:社会の流れを読むということ。

向井:はい。
   たとえば、いま北朝鮮問題で高山自体のインバウンドは減ってるんです。
   そういうことには敏感にならざるを得ないですよね。
   いつも常に意識はしています。


(つづく)

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次回は、向井社長がフルーツサンドのお店と並行して
現在進めていらっしゃる、
美術館の新企画についてのお話をご紹介します。
どうぞお楽しみに。


<向井公規さんプロフィール>
むかい きみのり 株式会社紀文 代表取締役社長
ハワイの大学とビジネスカレッジで観光学、コンピューターサイエンスを修め、ホテルや旅行会社で実践を学びながら、インターネットでハワイのグッズやブランドを販売する会社を立ち上げる。事業は順風満帆ながら、ビザが切れたことを機に26歳で帰国し、東京のIT企業でプログラマー、システムエンジニアとして活躍。その後、30歳で故郷の飛騨高山に戻り、父の事業に参加。8年前から美術館経営、飲食事業の経営に携わる。

レストラン花水木
飛騨高山美術館